2009年10月30日金曜日

「下宿」(『日本百科大辞典』(明治43(1910)年)より)

「げしゅく(下宿)

宿屋営業の一。

1ヶ月分の食料・座敷料等を定めて
人を寄宿せしむるものにして、
炭油費その他諸器具は寄宿者自身の支弁なるを普通とす。

明治28年3月警視庁令第2号宿屋営業取締規則によれば、
東京府下にては、
下宿屋の出入口は便利にして、かつ危害なき設備をなし、
客室の構造は
十分光線を取り空気を融通せしむるに適当なる装置を
なさざるべからず。

客室の境界は壁・襖・板戸を用い、
押入又は戸棚を設け、
各室堅固にして鍵を個にせる錠前を附することを要す。

2階又は3階を設くるときは、
その房室の坪数15坪以上のものは
幅員3尺以上の階子2箇以上を設くべく、

便所は各2箇以上(客室の坪数10坪以上なるときは1箇)を
臭気の客室に及ばざる所に設け、
日々清潔に掃除せざるべからず。

営業者は下宿・転宿又は出発したる者ある毎に
24時間以内に届書を
所轄警察署・警察分署・巡査派出所もしくは巡査駐在所に差出し、
1通に検印を受け、これを編綴して保存するを要す。

下宿人外泊3日におよび、その所在不分明なるときは、
24時間以内に
所轄警察署・警察分署・巡査派出所もしくは巡査駐在所に
届出でざるべからず。」



関連書籍等

『貼雑年譜』156-157頁に乱歩経営下宿屋の広告・平面図。
『屋根裏の散歩者』は、下宿屋が舞台。


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